電波暗室とは?

より良いアンテナ製品をつくるためには、正確な性能評価が欠かせません。アンテナの測定には、不要な電波や反射波を介在させない環境が望ましく、電波暗室と呼ばれる専用の測定場が使用されます。

 

電波暗室の天井・床面、側面、前後面には金属面が設置され、外部からの電波、周囲雑音を遮断します。そして内側には電波吸収体を無数に配備することで、無反射の環境をつくりだしています。

 

電波暗室を使用することで、天候に左右されることなく、屋内で効率的かつ高精度な性能評価が可能となります。

国内最大級、川里工場の大型電波暗室

電波暗室として国内最大級を誇るのが、川里工場にある大型電波暗室です。6面すべて電波吸収体で覆われ、試験電波を発射するポイントから、テスト受信するアンテナまでの距離は20mに達します。

建築床面積

760㎡(電波暗室:長さ 30m ×幅 14m ×高さ 14m)

検査周波数

70MHz ~ 80GHz

特徴

  • アンテナ測定環境用シールド・6面吸収体構成完全無響室タイプでは、民間企業トップクラスの大きさ。
  • 防災行政用無線のデジタル化やPHS基地局の高度化、無線LAN等の各種通信システムへの対応目的の中・大型基地局アンテナの開発にも利用可能。


川里工場の大型電波暗室は、その規模の大きさにより、下記のような大型筐体 (アンテナが搭載される物体) の搬入が可能です。

 

  • 自動車 (ピックアップトラックレベルまで可能)
  • 大型サイズの基地局用アンテナ (全長 約7mの塔体型など)
  • 小型人工衛星構体

 

筐体は、「ターンテーブル」と呼ばれる360°水平面内で回転させるステージへ載せ、アンテナの全方位角における電波の受信状態の測定も可能です。

最適な電波暗室でお客さまニーズに応える

日本アンテナは、この大型電波暗室のほか、川里工場に中型電波暗室(完全無響室タイプ)を3室、小型電波暗室(半無響室タイプ)を2室、蕨工場に中型電波暗室(完全無響室タイプ)を1室を所有しています。

繊細な電波を取り扱う上で、求められている仕様や条件に適合するかどうかの性能評価は、アンテナの設計と同じく大変重要です。

 

日本アンテナは、規模や環境が異なるさまざまな電波暗室を所有することにより、取り扱う電波の「周波数帯」、「測定評価方法」、「アンテナ設計仕様」 に応じて最適な電波暗室が選択できる体制が整っています。効率的かつ高精度の性能評価で、タイムリーにお客さまのニーズにお応えします。